マドラス日記 '03/05
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2003年4月26日

 成田発クアラルンプール経由のマレーシア航空にてチェンナイ入りする。成田ではエアインディアが飛行延期になって翌日発になっていた。私の前にチケットを換えていた女の子がエアインディアだったのだけれど、彼女はどうしたのだろう?

 後日、エアインディアの飛行延期は「SARSの発生地を飛ぶのはいやだ」というパイロットによるストが原因だとわかった。今回はどこに行っても必ずSARSの事を聞かれ、正直うんざりした。

 いきなりストになってしまったエアインディアと違い、こちらは快調にChennai着。深夜のChennai。ああ、この匂い、熱気、約4ケ月振りなのに、なにもかもが懐かしい。
相当に暑いぞ!と覚悟して来たのだが、予想と違って思いのほか涼しい。まあ、それでも湿度が高くて暑いことは暑いのだが、去年のあの茹だるような暑さは感じない。これが平均なのだろうか?
アショカさんが、メールで航空会社を教えろと言って来たので、もしかして迎えにでも来てくれているのかと、辺りを見回してみるが、あの人なつこい笑顔は無かった。予定どおりプリペイドタクシーでホテルに向かう。エアコン無しのアンバサダーだ。窓の外の流れる景色をぼーっと見ている。1月同様、映画のポスターや看板はほとんど見られない。あの、初めてChennaiを訪れた時の感動は、もう味わえないのだろうなぁ。

 Chennaiの市内に入ろうかという時。
あ!ここを曲がればMeenaさんの新居の方だ!行きてぇ〜!でも、今は深夜の0時を廻っている。ここは我慢だ。

 ホテルのフロントは初めて見る顔の人(笑)だった。ポーターに連れられて部屋へと向かう。おお!綺麗にリホームされてるじゃないの!トイレも新品だ!テレビはリモコンがあるぞ!これは便利(笑)そしてなにより嬉しいのが、蚊が居ない事。1月にはあれだけ居た蚊が全くと言っていい程居ない。どこに行ったんだ?
さっそく綺麗なバスルームでシャワーを浴び床につく。おやすみなさい。

2003年4月27日

 朝から暑い。が、昨年のあの暑さ程じゃないな。去年は、部屋から出るのに勇気がいるくらい暑かったからなぁ。早速、アショカさんの家を訪ねる。途中、タミル語の新聞を買って、歩いていると後ろから声が掛かった。顔なじみのリクシャーワーラーであった。よく後ろ姿で判ったなぁ(笑)「今日は近くの友だちの家に行くだけだから使わないよ。明日はMeenaさんの所に行くけどね」「OK。明日ホテルの前で待ってるよ」と客を乗せたオートリクシャーは立ち去っていった。

 アショカさんの家である。今、インドの学校は夏休みなので、親戚の子が遊びに来て居た。来て居たと言っても同じ建物に親戚が集まって暮らしているので、しょっちゅう出入りしているのだが。
驚いたのは、テレビの脇に大きなスピーカーがそびえている。そしてテレビの上にもスピーカーが。さらに後ろの壁にも小さなスピーカーがおごられて居た。そう、5.1chサラウンドって奴である。ウーハーが無いから5chか。アショカさん、凄いです。でも、アンプがどこぞの判らないメーカー製なので、雑音が酷いような気が…

 「かつやさんがもしシンガポール経由だった場合は家に入れないようにしようと思いました。」と笑顔でアショカさん。なるほど、それでメールで航空会社を聞いてきたわけか。わたしゃてっきり迎えにでも来てくれるのかと思ったよ。
「日本はどうですか?」「あまり変りません。相変わらずの不景気です。」
そのアショカさんのところで、「Dhool」をVCDで見る。ん〜思った程面白く無いなぁ。結構、重い内容だし。これがヒットしてるのか?CDジャケットから、もっとお気楽なコメディ映画かと思ってたよ。

 お昼にはドーサを御馳走になる。

 午後、アショカさんの運転する車で出かける。出掛けた先は「超アジア通」で小林聡美が踊った植物園。ここで偶然、ミュージカルシーンの撮影が行われて居た。タイトルは「Kashmir」。ヒーローはKarthik、ヒロインはLakshmi?ん〜知らない顔だ。新人さんかしら?ダンスマスターは北九州以来のKalaさん。サンバイザーがトレードマークだ。そして何故かムトゥでのアンバラッタ様ことRadha Raviさんの顔も見える。
北九州でキルティちゃんと踊っていた人がKalaさんの補助をしていた。彼にKalaさんと撮った写真を見せると、Kalaさんに取次いでくれた。Kalaさんはすっかり忘れて居たようだったが、写真を見て思い出したらしく開口一番「ワイフはどうした?」む〜、しばちんさんの事である。面倒だったので、「わたし独りで来ました」と答える。
私が行った時はすでに撮影が終わろうとしていた時で、2、3カット撮影後、撤収が始ってしまった。

 この日がヒロインのLakshmiさん(もしかするとRakshmiが正解だったかも)の誕生日だったらしく、バースデーケーキが用意されていた。


 で、撮影後、みんなでお祝しているところ。この後、映画で時々見るようにカットしたケーキを食べさせていた。甘い物が苦手らしいKarthikは断っていたけど。
ヒロインのLaksyumiさん。
結構、ボリュームのある方でした。

ヒーローのKarthik。
やはり、かつらだった(笑)
ヘビースモーカーで、絶えずたばこをすぱすぱ吸って居た。
KarthikとRadha Raviさん。
ちなみに監督は「Devan」のArun Pandiyan氏。
彼の写真を撮り忘れてしまったのが心残りだ…。

Three Rosesの大看板。市内で4つか5つ見かけた。それぞれデザインが異なっているが、ネットで見かけた写真が使われていた。Three Rosesという名前の紅茶葉があるらしく、メインスポンサーになっていた。看板の右上にみえるのが商品。

 撮影も終了してしまったので、スペンサープラザへ買い物に行く。Meenaさん関連のCD&カセットは無いかな〜。
おお!見つけたよ!何気なく手に取ったカセットテープをひっくり返してびっくりんこ。Meenaさんがプレイバックシンガーとして歌っているじゃあ〜りませんか!!
「Saena」という映画の「Indru Indha Kalaiyil」という曲です。これはびっくり。というか、見つけた自分を誉めたい(笑)後は、SivakamiとPaaraiのカセットをGET。さらにSaenaとPaaraiはCDもGETだぜ。
スペンサープラザ内をうろうろしていて発見。なんとまあ、スペンサープラザ3が建築中、いやもう、ほとんど完成してる。いつの間に工事していたのだろう?気が着かなかった…。

 夕食はガンジス。トマトスープがうまい!
食事の後、アショカさんの家に寄ってから、いつもバーに。再会を喜ぶ。そしてトマトジュースがうま〜。

後日、いやな話しを耳にした。ダンスマスターのKalaさんがテレビ番組のインタビューで「私はなんでも出来る」と豪語したらしく、天狗になっていると反感を買っているらしい。

2003年4月28日

 朝、新聞でSoundaryaが結婚したとの小さい記事を見つけた。結婚式は家族と親しい友人だけで行われたらしい。

 Meenaさんの新居へ向かう。昨日のオートリクシャーが見つからないので、別のおじさんを捕まえる。このおじさん、買い物には誘わないし、お金も要求はするけどしつこく無く当たりな人であった。
ほどなくMeenaさんの新居に到着。門の隙間から覗くと車が見える。居るのかなぁ?チャイムを押す。ガードマンが顔を覗かせる。初めて見る顔だ。日本から来た事を話していると、Meenaさんのドライバーが顔を覗かせた。彼とは顔見知りだ。Meenaさんはバンガロールに撮影に行っていて、いつ戻るか判らないらしい。ま、先は長い。彼にプレゼントを渡してくれるようお願いしようとしたら、「僕にプレゼント?」と一瞬喜ばれてしまった。ち、違うよー。Meenaさんにだってばさ。彼に「Ravikumar監督の家を知っている?テナリビルと呼ばれてるらしんだけど」と訪ねる。「すぐ、そこだよー」をガードマンと共に教えてくれた。「また、来るよー」とお別れ。

 Ravikumar監督の家は、ほんとに目と鼻の先にあった。建築中の大きなビルで、只今工事の真っ最中。そこに居た現場監督さんらしき人に聞いてみる。彼の話ではここはオフィスだそうで、プライベートな家では無いらしい。私が日本から来た事を聞いた彼は、わざわざRavikumar監督の事務所に連絡してくれて、事務所の住所を聞き出してくれた。単純にRavikumar監督の家を見たいだけだったのだが、会えるかもしれない。もし会えたら絶対にやりたい事があった。
オートリクシャーでオフィスへと向かう。何度か道を訪ねてようやく辿り着く。オフィスでは電話を受けたらしい人が出向かてくれた。「監督は編集中なので待つ事になるよ」「ノープロブレムです」「オートは待たせておいて平気なの?」「4時間、200ルピーで借りてますから」「おお、そりゃ安いね」
来客中のアシスタントディレクターと名乗る人物も、私に興味津々らしく、いろいろと話し掛けてくる。壁のポスターを指差して「これは誰だかわかるか?」と。
ふふふふ。私を誰だと思っているのだ。わからいでか!

玄関を入り振り返ると、頭上にパダヤッパの看板が輝いていた。
事務室の入り口の上にはテナリ。

壁には、そろそろ公開されるであろう「Paarai」のポスターが貼られていた。案内してくれた事務所の人の話では5月9日公開だそう。え〜私は4日の夜に日本に帰るんで見られない〜という話をしたら、「4日か5日にプレビューがあるから、見せてあげるよ」とうれしい言葉を貰った。
ほ、ほしい!

 そんなこんなで約2時間程待たされる。ようやく声がかかり、近くのスタジオへと案内される。階段を上り、カウンターのある受け付け脇の小部屋に通される。部屋の左手には小さなスクリーンがある。映写室か?右手には机があり、誰かがクッキーを頬張っていった。「え?この人がRavikumar?なんか映画で見る顔と全然違うんですけど…」戸惑っている私を置いて、案内してくれた人はどこかに行ってしまった。Ravikumarらしき人に(笑)椅子を勧められる。本当にこの人がRavikumarなのか?目の前の現実を把握しきれない私をよそに、その人はクッキーを食べるか?と勧めてくれた。丁重にお断りして、質問する。
「Paaraiはいつ公開ですか?」
「20日かな」
え?事務所の人は9日って言ってたんだけど…じゃ、プレビューは…
「プレビューは18日かな?」
が〜ん。見られない…。
気を取り直して、聞く事は聞かねば!そう思い、一番聞きたかった事を聞く。
「ラジニの新作はあなたが監督されるんですか?」
「そう。来年ね。」
え?来年?噂では6月にも製作発表が行われるように聞いていたけど…来年の話しなのか…なんか拍子抜け。ヒロイン等も決まっていないらしい。もしかして、周りが騒いでいるだけなのか?
編集作業中で多忙だったようで、すぐに「今忙しいから」と席を立ち、奥のダビングルームへと消えてしまった。どうやら私の為に時間を作ってくれたらしい…。感謝!
2時間待って、逢ったのが3分くらいか…。まあ、こんなもんだよな…。

写真を見て改めてRavikumarに逢ったのだと実感する。
逢っている最中は、彼が本当にRavikumarなのか半信半疑だった。写真でみる限り、映画のまんまだなぁ。何故、本人かどうか悩んだのだろう?

 Ravikumar監督、映画で登場するように、気さくでフレンドリーな人かと想像していたのだが、全然違った。もしかすると編集作業中だったので仕事モードだったのかもしれないが、何か近寄りがたい雰囲気を持っていた。映画監督と呼ばれる人は本来、こんな感じなのかもしれないなぁ。なんかプラパパに近いものを感じる。

 Ravikumar事務所を後にして、Vadapalaniに向かう。いつものチャイニーズレストランで食事を済ませ、Kamalaシアターで「Dum」という映画を見ることにする。リトルスーパースターSilambarasan主演である。この映画、なぜかヒット街道爆進中なのだ。

 なるほど、ネットでラジニスタイルがどうたらこうたらと言うのを見たきがしたが、これはまさにラジニ映画そのものだ。大学生版ラジニ。しかし、やたらとたばこを吸うなぁ。それに決めポーズもなんだかなぁ。ヒロインの方が年上に見えてしまうのも、どうかと思うぞ。ストーリーも素直に納得できないし、なぜヒットしているのか、さっぱりわからん。

 実は、私、リトルスーパースター事Silambarasanに逢って居た。当時は内緒にしておいて下さいと、言われて居たので誰にも話した事がないのだが、もういいだろう。実は、初めてChennaiを訪れた時、当時学生だったラジニの娘、アイシュワリヤに逢った。彼女は学校の発表会の為のダンスの練習をしていた。その彼女と一緒に居たのがSilambarasanだったのだ。あの時は有名な監督の息子としか紹介されなかった。もし聞いてもよく判らなかったであろう。なので残念ながら彼の事はまったく印象に残っていない。
この時逢ったアイシュワリヤだが、正直、私は余りいい印象を持っていない。
何かこう2世としてのイヤな感じを全身から発していたのだ。今はどうなのか判らないが、Silambarasanと彼女は付き合っているらしく、同じジュースを飲んだり、いちゃついたりしていた。インドは男女関係に厳しいと聞いて居たのでびっくりしたものである。この二人、今でも付き合っているのだろうか?

 ホテルに戻る途中、両替えをする。なぜか「おまえはダンスを習いに来たのか?」と聞かれる。どこをどう見たらそう思えるのか、頭の中に「?」が浮かぶ。
「いや映画を見に来たんだ」
どうやら日本人の女の子がふたりダンスを習いに来ているらしい。そういえば昨日、スペンサープラザ内のランドマークで、日本人らしい女の子ふたりを見かけたなぁ。わざわざ声は掛けなかったが。
ホテルに戻るとT氏からのメッセージが届いていた。ホテルの人が気を効かせてくれたらしく彼の部屋は隣だった(笑)一緒にタンドリーチキンを食べに行く。

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